コンサルタント
ENTRY
バックオフィス
ENTRY
PROJECT STORY
私たちは、複数名からなる“チーム”で1つの案件を担当します。
チームの一人ひとりがどのような想いを持って案件に取り組んでいるのかをご紹介します。
CASE I
チームが一丸となり、80代夫妻の事業承継を実現。
■売り手:集合住宅などの設備全般を手がける、従業員十数名の設備工事会社。
■買い手:売り手の数倍の企業規模を持ち、同じ地域で営業する設備工事会社。
ソーシング
経営者夫妻と面談を重ね、信頼関係を構築。
ソーシングにおいては、売り手企業から十分な情報を収集し、企業ごとに最適な事業承継スキームを構築することが、次の段階にあるマッチングの質を決定する。後継者問題を抱えるこの設備工事会社の経営者夫妻はともに80代で、ITリテラシーは高くなく、メールもあまり利用されていなかった。この時大事にしていたのは、売り手企業に徹底的に寄り添うことだ。成約までの約7カ月間、週1回は訪問し、膝を突き合わせて2、3時間におよぶ面談を重ねた。物静かな社長に対して奥様はお話好き。お二人のさまざまな話を通じて経営者の人柄が知れ、この企業の沿革や独特の収益構造の理解も深まった。信頼関係の深まりとともに、重要な経営情報も収集することができた。M&Aの対応は、通常の経営業に追加で負荷がかかるものだ。それゆえ、M&Aの対応がご夫妻の過度の負担となっていないかも常に気を配った。
マッチング
売り手のビジネスモデルを理解し、適切な買い手を探索。膨大な資料準備も支援。
マッチングにおいては、M&Aによるシナジーを最大化できる買い手企業を探索することがカギになる。売り手企業のビジネスを深く理解し、買い手企業の未来のビジネスを創造する力が問われる。売り手企業は、地域の設備関連事業の協同組合を通じて利益率の高い工事を受注し、成長してきた。この売り手企業の独自のビジネスモデルや収益構造を初期段階でよく理解できたことが、マッチングに功を奏した。ビジネスモデルの理解には財務・経営関連資料が必須になる。資料の準備と一言でいってしまえば容易に聞こえるが、その種類も量も膨大だ。売り手企業にとって大きな負担となり、検討がスムーズに進まないこともある。私たちは、ご高齢の夫妻の負担は極力小さく抑えたい―そんな思いから、どのような資料がどのタイミングで必要かを入念に精査し、ご夫妻と綿密にコミュニケーションをとって資料準備を支援した。並行して潜在的な買い手企業を探索していたが、売り手企業から適切な資料を得られたことで、比較的短期間で、同じ地方で事業展開する同業の企業から買収の意向を得ることができた。また、これらの資料によって、買い手企業はM&A後の人材の適正配置など中長期的な成長戦略を詳細に描くことも可能となった。
エグゼキューション
綿密なフォローで、最後まで伴走。
会社譲渡に係る主要な条件について売り手企業・買い手企業間で合意がされたのち、クロージングまでの実務では、専門知識をベースに買収監査のサポートや契約関連のドキュメント全般を作成する。この局面はM&Aの最終フェーズともいえるが、大きな決断を前に、売り手企業、買い手企業ともに緊張感が増す。
この時は、まずは買い手から、そしてクロージングの数日前には売り手から、「白紙に戻したい」との申し入れを受けた。M&Aの最終局面では、本当にこれで良いのかと自問自答を繰り返し、不安や迷いが膨張してしまうことがある。まさにこのケースがそうだった。仲介者として、まず当社にできることは、客観的な判断材料の提供だ。私たちはM&Aのメリット等の客観的な判断材料をまとめ直して伝えた。さらに、双方の声にあらためて耳を傾けることももちろん行った。そこで活躍したのはキャリア20年以上のシニアコンサルタントだ。幾度も両社のトップと面談し、両者の描く未来が一致していることを丁寧に確認していった。一生に一度ともいえるシーンに、逡巡することは誰しもありうる。そんな場面で、これまでの経験値や膨大な分析結果などの客観的根拠をもって、そっと背中を押す。数多くM&Aを支援してきたベテランだからこそできることだ。これまで彼らが数多く見てきた“ポストM&Aの姿”―従業員がこれまで以上にいきいきと働き、事業が成長していく姿―を伝えることで、両者にM&Aの意義をあらためて認識してもらい、迷いを晴らすことができた。
M&Aのその後
売り手・買い手双方が、新たな一歩を踏み出す。
クロージングの時、ご夫妻がどこかほっとしたような表情をしていたのが印象的だ。その後、買い手企業から迎え入れた新社長は、従業員と積極的にコミュニケーションをとり、売り手企業から引き継いだ顧客基盤を維持しながら、自ら先頭に立って新規顧客開拓にも挑戦している。長年の経営の重荷を下ろした売り手企業の経営者夫妻は、この新しい会社の未来に期待を寄せている。
CASE II
チームの提案力と
徹底的に伴走する熱意が、
大型案件も成功に導く。
■売り手:重量物のトレーラー輸送を専門とし、高収益を上げる従業員数十名の運送会社。
■買い手:大規模な倉庫を保有し、総合物流事業を展開する従業員数百名の運送会社。
ソーシング
会社分割や相続対策。
売り手に寄り添った提案で、案件を受託。
売り手企業は、創業社長が一代で築いてきた重量物輸送専門の高収益企業。高齢の社長は、ご息女に特殊なノウハウを要する事業を継いでもらうのは忍びなく、社内メンバーに経営を任せるか、社外から新たに後継者を迎えるか、事業承継の方策を模索していた。すでに社長は複数のM&A仲介会社と面談を重ねていて、当社はまず受注獲得という壁を乗り越える必要があった。そこで当社のチームでは、早い段階から税理士資格を持つ経験豊富なM&Aコンサルタントを交えて社長との面談に臨み、売り手企業が本業とは別に保有していた不動産物件に着目。会社譲渡後もこの物件は手元に残せるよう、会社分割のスキームを提案した。この不動産物件は安定収益を生んでいて、この会社分割スキームによって社長のご息女が将来にわたって収益を得られる仕組みを構築できる。さらに、M&A後の相続対策についてもあわせて提案に盛り込んだ。これらの提案が売り手社長に響き、当社に仲介を任せてもらえることとなった。
マッチング
M&Aに必要な資金の調達を、綿密にサポート。
会社分割によって収益不動産を切り離すことは、その分売り手企業の譲渡価額がおさえられ、買い手企業にもメリットが生まれる。とはいえ、このM&Aには総額数十億円におよぶ資金が必要であり、チームでは事業シナジーが見込める大手から中小企業まで、全国規模で買い手の探索に取り組んだ。この過程で、重量物輸送に関心を示す総合物流企業の若手オーナー社長との出会いがあった。ちょうど売り手のご息女と買い手社長が同世代だったこともあり、売り手と買い手社長はまるで親子のように意気投合。ときには「お義父さん」「息子よ」と冗談で呼び合うような関係にまでなっていた。残る課題は、買い手企業の資金調達をどのように支援するかであった。買い手が巨額の資金を金融機関から借り入れ、かつ、M&A成立後初年度から黒字経営を継続するために、チームメンバーは長期間にわたる返済計画をその細部まで策定。金融機関との打ち合わせにも同席するなどのサポートに注力した。
エグゼキューション
コロナ禍によって生じた誤解。仲介者だからこそできた支援。
順調に進むかに見えた案件であったが、契約締結を前にして新型コロナウイルス感染症拡大が深刻化。買い手社長が、いったん環境の推移を見たいと検討期間延長の意向を示した。買い手のこの対応が、売り手にはネガティブに映ってしまい、売り手企業は、「苦しい時にともに手を取って歩めないような相手には譲渡できない」とM&Aを取りやめることを決断。買い手に断りの連絡を入れてほしいと話があり、破談となった。
経済が大混乱に陥っていた時期だ。各社対応の方向性を模索していたころであり、買い手社長にとっては、そのような環境下で慎重に検討することは致し方ないという気持ちがあった。一方、売り手社長には、予想外の事態とはいえ、親子のように意気投合をした買い手社長が決断を翻意したことへの悲しみがあった。
ここまで両者に伴走してきた当社のコンサルタントには、両者ともに本心ではこのM&Aを進めたいと考えているが、コロナ禍という不測の事態にボタンのかけ違いが起こり、気持ちがすれ違っていることが感じられた。その気持ちのすれ違いを解くことができないか思案し、当社は両者と幾度も面談を重ねた。もともとお互いの経営手腕や人間性を高く買っていた2人である。面談を通じて将来あるべき企業像をともに見つめ直し、誤解が生じていたことに気づくと、3カ月後にはお互いが譲歩し合う形であらためて契約締結が実現した。
出会うべくして出会った経営者同士ではあったが、この復活劇を後押しするために、両者の建前だけでなく本音の部分を伝えることを心掛け、両者が納得のいく着地点を探して、チームメンバーは何カ月にもわたり伴走してきた。また、チームには、会社分割など複雑なスキームを用いた中小企業の事業承継に数多く携わってきた豊富な経験があり、複数の条件案についてメリット・デメリットを客観的な根拠をもって伝えることもできていた。実際にこの収益不動産を切り離すための手続きや実務までをサポートしたことも、契約締結に大きく寄与したと言えるだろう。
M&Aのその後
売り手・買い手ともに、輝かしい未来へ。
チームのベテランコンサルタントは、「売り手からも、買い手からも“感謝される仕事”を目指して、ずっとこの世界で取り組んできた」と、自らのキャリアを語っている。また、「当社に来てから、いろいろな業種の会社の実態を財務諸表などの“数字”で把握できるようになり、経営者とより深い議論ができる面白さが広がった」と語る中堅メンバーもいる。
まさにこの案件でも、売り手企業の創業社長から、収益不動産を手元に残す法人の所有としたことでご息女2人に利益配分ができるようになり、安心してリタイアできたと笑顔で感謝の言葉をいただいた。また、買い手企業は当社の仲介を経て、これまでは社内にリソースがなくて外注していた重量物輸送という事業領域に、経験豊富な従業員とともに参入できた。総合物流企業として新たな可能性を追求する毎日に、若手社長は目を輝かせているという。